技術ラボ便り

ここでは、シリーズ企画でいろいろな特集を組んで紹介したいと思います。第一弾は、機能性試験について紹介をしていきます。普段、あまり目に触れる事が少ない人もいるかもしれませんが、お店などで目にすることが多い機能を中心に紹介していきたいと思います。第四回目は「防汚性」についてです。


防汚性について

防汚加工は、清潔で取り扱いや手入れが楽という理由から、ワイシャツや作業着など、多くの製品に用いられています。防汚加工には、①SG(Soil Guard) :汚れを付きにくくする加工、②SR(Soil Release) :付着した汚れを洗濯などで落ちやすくする加工、③SG/SR(Soil Guard&Release) :汚れが付きにくく、付いても落ちやすい加工、の3タイプがあります。また、SG加工とSR加工については、SG加工は表面の凹凸をなくし、汚れが付着しにくい機構になりますが、SR加工については、洗剤となじみやすくするために親水性の樹脂を用いるため、水溶性の汚れが付着しやすい機構となり、相反する加工にとなってしまいます。

このような、汚れの付きにくさや付いた汚れの落ちやすさを評価する試験が防汚性試験です。

 ◎試験方法

方法:JIS L 1919 繊維製品の防汚性試験方法

<汚れにくさ試験>

・A-1法(密閉形円筒容器を用いる方法)

 粗い粒子を含んだ油性の粉体汚染物質(泥汚れ等)に対する防汚性を調べる試験です。
 規定の容器に粉状の汚染物質とゴム管に装着した試験片3個を入れ密閉します。
これをICI形ピリング試験機で20分間試験をし、試験後の試験片を裏面より5回指ではじいて余分な汚れを取って、汚染用グレースケールで判定します。

・A-2法(密閉形樹脂性袋を用いる方法)

  細かい粒子を含んだ乾性の粉体汚染物質(粉塵、花粉等)に対する防汚性を調べる試験です。

  規定の袋に粉状の汚染物質と試験片を1枚入れ、空気を入れます。
これをICI形ピリング試験機で 60分間試験をし、試験後の試験片を裏面より5回指ではじいて余分な汚れを取って、汚染用グレースケールで判定します。

・B法(スプレー法)                              

 親水性汚れに対する防汚性を調べる試験です。
  はっ水度試験機で試験片に人工汚染物質を100mlかけ、乾燥後、汚染用グレースケールで判定します。

・C法(滴下ふき取り法)

新油性汚れに対する防汚性を調べる試験です。
試験片に人工汚染物質0.1mlを滴下し、1分後ろ紙で余分な汚染物質を吸い取り、汚染用グレースケールで判定します。

<付いた汚れの落ちやすさ試験>

上記試験後の試験片について、JIS L 0217 103法により洗濯を行い、汚染用グレースケールで判定します。

<その他の防汚に関連する試験>

・  防水性試験 JIS L 1092 はっ水度試験(スプレー法)

・  はつ油性試験  AATCC TM118


 ◎代表的な加工方法
  □SG加工(汚れを付きにくくする加工)
   :フッ素樹脂等を使い、生地表面の凹凸を減らし、汚れを付着しにくくする。主に、はっ水、はつ油加工と同じ。
  □SR加工(汚れを落ちやすくする加工)
   :洗濯水や洗剤とのなじみを良くすることにより、結果汚れが落ちやすくなる。主に、親水性を持つ機能性ポリマー樹脂を用いる。
  □SG/SR加工(汚れが付きにくく、付いても落ちやすくする加工)
   :親水性と疎水性の両方の性質を持つ樹脂を使用する。


 ◎この機能の弱いところ

・SG加工のみを行った場合、汚れは付きにくくなりますが、付いてしまった汚れは落ちにくくなります。また、SR加工のみを行った場合、付いた汚れは落ちやすくなりますが、水溶性の汚れが付きやすくなります。

・繊維表面にはっ水剤(はつ油剤)を加工した製品は、繰り返し洗濯や着用を行うことにより加工剤が脱落し、効果が低下することがあります。

・洗濯時の柔軟剤の使用や洗剤の残留により、はっ水(はつ油)効果が低下することがあります。

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