技術ラボ便り

Q.アゾ染料の試験について教えて下さい。②

 ここ最近、特定芳香族アミン類の試験についての問い合わせが増えています。そのため、このコーナーで全三回にわたり説明をさせていただきます。第二回目は、「試験方法」について説明させていただきます。

【試験方法について】

一般的には、日本の自主基準で定められたEN規格(EN14362-1 )と中国国家規格に定められているGB規格(GB/T 17592)の2種類の方法が規定されています。大まかな流れは一緒になりますので、左記表にて紹介させていただきます。また、双方の規格で禁止されている物質の中で「4-アミノアゾベンゼン」という物質がありますが、この物質は上記方法だと分解して別の物質(禁止物質ではありません)となってしまいますので、別の試験方法(EN規格:EN14362-2、GB規格:GB/T23344)で試験を実施しないと検出できません。

【EN規格とGB規格の違いについて】

この2つの試験規格の異なる点について紹介させていただきます。

1.規制物質が、EN規格に比べGB規格の方が2種類多い。(2.4-キシリジンと2.6-キシリジン)

2.基準値が異なる。(EN規格:30mg/kg以下、GB規格:20mg/kg以下)

3.使用する薬品や薬品の使用量が異なる。

 また、時折質問で、「GB規格で合格した物は、EN規格でも合格しますか?」との問い合わせがあります。これについては、試験方法の流れは一緒ですが、使用する薬品や薬品の使用量が異なるため一概には言えません。しかし、規格の内容から理論的に考えるとEN規格は分解後の物質を保護する薬品を入れるため、検出される量が多くなると推定されます。ただ、基本的に検出されるものは両規格共検出する傾向が見られます。

【禁止物質について】

今回規制される物質について、「どの程度の危険性があるか?」についてですが、IARC(国際がん研究機関:世界保健機構(WHO)の外部組織)が公表している資料(下記参照)がありまして、この資料によるとコーヒーやタバコと同程度の評価ランクとなる物質も存在します。そのため、今回規制される発がん性が疑われる物質ですが、物凄く有害な物質でもないとの見方もあります。ただ、世界各国の規制状況からも、近年の分析技術の進歩によりそれらの物質が特定されるようになってきており、消費者保護を考えると人体に影響を及ぼす有害物質はなるべく使用しないというような流れがあります。

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