技術ラボ便り

摩擦堅牢度試験

摩擦試験は、染色した繊維製品の“擦れによって、どの程度色が移るかを確認する”試験です。JIS L 0849で?形と?形があります。ここでは、日本で主に使用されている?形(学振形)を紹介します。ちなみに、

?形は欧米で採用されており日本では主に天然皮革に適用されています。

試験方法および判定

乾燥試験および湿潤試験方法

室温20℃、湿度65%の部屋で
生地を綿布で1分間に30回、計100回擦る
(乾燥:綿布を濡らしていない状態)
(湿潤:綿布を約100%湿潤状態にする)

60℃未満の乾燥機にて乾燥後、
綿布に移った色をグレースケールで判定する

ケケン基準:乾燥 4級以上  湿潤 2−3級以上

特例)
濃色・特殊プリント・起毛品の場合 乾燥 3-4級 湿潤 2級

デニム・別珍・コーデュロイの場合 乾燥 3級 湿潤 1-2級

乾摩擦が弱い(3−4級以下)とクレームが出やすいので注意が必要です。

〈 摩擦試験機 Ⅰ形 〉
〈 摩擦試験機 Ⅱ形 〉

<Ⅰ形とⅡ形の違いは?>

Ⅰ形(クロックメーター)は平面に力が加わり、9Nの荷重で10cm間隔を10秒間に平均的に10回往復摩擦

Ⅱ形(学振形)は湾曲に力が加わり、2Nの荷重で10cm間隔を1分間に30回の速度で100回往復摩擦

〜簡易試験方法〜

手で綿布を擦ってどの程度色移りが発生するかを確認することも可能です。また、人によって擦る強さは異なります。基準値付近の生地で一度試すことをオススメします。

発生しやすい素材

インディゴ染料、顔料を使用した製品、皮革(スエード等)の濃色製品などがあります。

●原因

分散染料などの水難溶性の染料に問題が発生することが多く、十分に染色されていないことや染色後の洗いが不十分であったことがあげられます。

対策● 

生地の段階において試験をすることや十分な洗いと適切な色止めを行う等も考えられます。製品段階では、裏側に裏地や別布を付ける(特に顔料染め製品)ことでインナーへの汚染はある程度対処可能です。また、「摩擦によって色が付くことがあります」等のケアラベルを付けることもあげられます。

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