技術ラボ便り

シリーズ〜機能篇〜

 ここでは、シリーズ企画でいろいろな特集を組んで紹介したいと思います。第一弾は、機能性試験について紹介をしていきます。今回は花粉症の方には重要な機能性である「花粉付着防止性」について紹介します。

花粉付着防止性について
花粉症対策として、最近では衣服に「花粉付着防止加工」を施した製品が販売されています。花粉対策には①花粉が付きにくくする加工、②花粉を落としやすくする加工、③花粉を捉えて再放散を抑える加工などがあります。花粉付着防止性試験は、花粉の付きにくさ及び落ちやすさを評価するために行う試験です。今回は、上記①〜③の花粉付着防止性で(一社)繊維評価技術協議会法について紹介します。

◎試験方法((一社)繊維評価技術協議会法)

<付きにくさ>
円柱型容器に疑似花粉(石松子)を封入し、撹拌して浮遊させます。ここに試験片5枚と木球5個を加え、ICIピリング試験機により円柱型容器を縦方向に4個入れ2分間回転させて撹拌します。試験片を取り出し、判定標準写真により等級判定を行い、5枚の平均値を測定結果とします。(石松子は淡色であるため、現時点では濃色生地(黒、紺など)のみに適用)

<等級判定>
1級:非常に多くの付着が認められる(500個以上)
2級:非常に多くの付着が認められる(250〜500個)
3級:付着が認められる(150〜250個)
4級:少し付着が認められる(50〜150個)
5級:わずかに付着が認められる(0〜50個)

◎代表的な基準値
  ・「付きにくさ」試験3級に対して「落ちやすさ」試験で4級など(花粉リリース性)

◎代表的な加工方法
  ・繊維表面の平滑性を向上させて花粉を付着しにくくする(樹脂加工や、微細構造など)
   ・プラス静電気保持性を高める加工剤により花粉を遠ざける(花粉はプラスに荷電する傾向)

◎この機能の注意点
 ・消費者が花粉付着防止性に期待しすぎないように表記には注意が必要です。
 ・洗濯や摩擦などの作用により、花粉付着防止性が経時的に減少する可能性はあります。

PAGE TOP