技術ラボ便り

冬場にかけては、1年のうちで最も太陽の光が少ない季節で、四季のある日本では最も寒い季節になります。
昔から暖を取る方法は数多くありますが、近年では太陽光から効率良く熱を得る加工を施した製品が見られるようになりました。
このような蓄熱保温加工製品がどの程度保温性があるのかを評価する試験が蓄熱保温性試験です。

◎試験方法
標準状態20±2℃、65±4%RHの室温の中で、試験片の裏面中央部に熱電対温度センサーを取り付け、試料表面にレフランプ(擬似太陽光)を照射(10分)及び消灯(10分)させた時の温度変化を1分毎に測定します。
加工品と未加工品を並べて測定した後、試料を入れ替え再度測定を行い、平均値を結果とします。

◎基準値
加工品と未加工品の温度差が照射10分後2.0℃以上認められ、消灯1分後1.0℃以上認められるもの。

なぜ暖かくなるのか…?
・遠赤外線利用の蓄熱保温
遠赤外線は、人体に照射することにより、身体内部に充血が起こり、血行を促進する等、温熱作用を有することが広く知られ、医療効果や健康促進の目的に使用され、また動植物の生育にも効果があるとされています。
遠赤外線の放射材料として実績のある化合物は、炭化ジルコニウム、導電性酸化チタン、各種金属酸化物、カーボンブラック等が挙げられます。
これらの化合物を繊維に付加することで蓄熱保温効果が高まるとされています。

(文献参照:機能性繊維 TRC)

◎代表的な加工方法
・蓄熱保温成分を繊維内部に練り込む。
・中空繊維などを併用し空気層をつくり、熱を逃がさないようにする。

◎この機能のデメリット
・日陰や曇りの天候での効果は低い。

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