技術ラボ便り
ここでは、シリーズ企画でいろいろな特集を組んで紹介したいと思います。第一弾は、機能性試験について紹介をしていきます。普段、あまり目に触れる事が少ない人もいるかもしれませんが、お店などで目にすることが多い機能を中心に紹介していきたいと思います。第三回目は「接触冷温感」についてです。
接触冷温感について
ここ数年、下着や寝具等で『冷感加工』が謳われている製品をよく目にします。『冷感加工』とは、その名の通り触ると冷たく感じる加工のことで、特に素肌に直接触れる製品では、着用した時にひんやりとした感覚を得ることができます。
人の肌が物に触れた時、「暖かい」や「冷たい」と感じる感覚のことを接触冷温感と言います。例えば、2つの同じ温度の物であっても、ウール等の衣服は「暖かい」と感じ、鉄等の金属は「冷たい」と感じます。これは、人の肌から物体への熱の移動量がそれぞれ異なるためで、人の肌が触れた時、鉄の方がウールよりも多くの熱を肌から奪うため、鉄は「冷たい」と感じるのです。
この感覚を評価する指標として最大熱吸収速度(q-max)があり、『冷感加工』製品の評価に用いられています。
◎試験方法
方法:接触冷温感(KES サーモラボ?法)
生地に室温(恒温室内温度:20℃)の+10℃(?T=10℃)又は+20℃(?T=20℃)に加熱した測定部を接触させた時の瞬間的な熱の移動量(q-max(W/cm2))を用いて測定します。
最大熱吸収速度(q-max)の数値が大きいほど冷たく感じることを表します。
◎代表的な基準値
?T=10℃のとき:q-max=0.1(W/cm2)以上
?T=20℃のとき:q-max=0.2(W/cm2)以上
◎代表的な加工方法
繊維製品に冷感加工を行うには、主に下のような方法が用いられます。
・キシリトールを含む樹脂により繊維表面を覆う
・熱を伝えやすい繊維を使用して生地を作る
◎この機能のデメリット
・キシリトール等を表面に付けただけの生地は、繰り返しの洗濯や
着用等で効果が薄れる可能性がある