ウールトップ


ウールトップ試験
織物やニット製品の性能や風合いは、組織や密度といった織物企画と共に、原料の性質によっても大きく左右されます。 性能や風合いを意図したものにするためには、適正な原料を使う必要があります。これをおろそかにすると、 例えば、強度が低下する、とか、風合いは良いがピリングが酷い、といった問題発生につながる恐れがあります。 特に毛は生物繊維であるため、外見からではその性質が推定できません。
当センターでは繊維直径測定機器として、エアフロー、マイクロプロジェクション、OFDA、繊維長測定機器としてアルメータを導入し、国際機関IWTOが半年毎に開催するラウンドテストに欠かさず参加し、優秀な成績を収めています。
繊維直径測定機器一覧表

試験方法
試験項目 | 平均繊維直径 |
適用範囲 | 羊毛のスライバー及び原料わた |
使用規格 | IWTO-28,JIS L 1081 B法(エアーフロー) |
機器名称 | エアーフロー |
原 理 | 重さが一定の繊維に空気を送った場合、繊維が太ければ隙間が開きやすいため通気性が大きく、 逆に繊維が細ければ隙間が小さくなり、通気性は小さくなる。 これを利用して、幾つかの既知の太さの繊維に対する通気性を測定し、これらのデータをグラフ化しておくことで、サンプルに対して測定した通気性の値から平均直径を算出する。 |
試験方法 | サンプルを繊維の塊がないようにほぐし、2.5gに調製したものを試験試料とする。これを機器下部の円筒室に詰め、ここに空気を送り、指示浮標の値を読む。サンプルがトップならば試料を2つ作成し、試料1つにつき2回測定する。データを予め作成した検量線に当て嵌め、平均繊維直径(μm,小数第2位)を算出する。 |
校正方法 | IWTO(International Association of Wool Textile Laboratories)より年1回8種の平均直径が既知の羊毛スライバーが提供される。これらを測定した結果と既知の値に差異がないように校正パラメータを調整する。さらに年2回のラウンドテストに参加し、そこで良好な成績を得ることでデータが公正であることを確認している。 |
試験項目 | 平均繊維直径 |
適用範囲 | 羊毛、カシミヤ、モヘヤ等獣毛のスライバー及び原料わた ※混用物については、解舒や薬品によって毛のみを残留させることで可能 (即ち綿や麻との混紡は不可、2種以上の混紡された毛のそれぞれの測定も不可) ※糸、織地及び編地については解舒によって繊維状にすることで可能 |
使用規格 | IWTO1-8,JIS L 1081 A法(プロジェクションミクロスコープ) |
機器名称 | プロジェクションミクロスコープ |
試験方法 | 0.4乃至0.8mmの長さに切断した試験試料に対し、流動パラフィンをマウント剤としてプレパラートを作成し、これを機器上部にセットする。これにさらに上方から光を照射することで、機器底部に繊維の形状を500倍乃至700倍に拡大して投影させる。プレパラートを少しずつ移動させながら、1本ずつ投影像を専用の測定用紙を用いて記録する。 |
校正方法 | IWTO(International Association of Wool Textile Laboratories)のラウンドテストが年2回開催されるので、これに参加し、良好な成績を得ることで校正されていると見做している。 |
試験項目 | 平均繊維直径 |
適用範囲 | 羊毛、カシミヤ、モヘヤ等獣毛のスライバー及び原料わた ※混用物については、解舒や薬品によって毛のみを残留させることで可能 (即ち綿や麻との混紡は不可、2種以上の混紡された毛のそれぞれの測定も不可) ※糸、織地及び編地については解舒によって繊維状にすることで可能 |
使用規格 | IWTO-47,JIS L 1081 D法(オプティカルアナライザ) |
機器名称 | OFDA(Optical Fiber Diameter Analyzer) |
システム構成 | 光学顕微鏡、CCDカメラ、画像処理及びデータ管理用コンピュータ、ソフトウエア、 |
試験方法 | 試験試料を1.0〜2.0mmの長さに切断し、70mm×70mmのスライドガラス上に規定の密度(繊維の面積比が15〜25%)になるよう、スプレッダーを用いて分散させる。もう1枚のスライドガラスで繊維を挟み、測定部にセットする。分析を開始させると、オプティカルアナライザが自動で光学顕微鏡による拡大画像を取り込み、画像を解析し、それぞれの繊維の直径を算出し、データとして集積していく。これが繰り返され規定の本数分のデータが蓄積されると、直径の分布、平均直径、標準偏差等が出力される。 |
校正方法 | IWTO(International Association of Wool Textile Laboratories)より年1回8種の平均直径が既知の羊毛スライバーが提供される。これらを測定した結果と既知の値に差異がないように校正パラメータを調整する。さらに年2回のラウンドテストに参加し、そこで良好な成績を得ることでデータが公正であることを確認している。 |
試験項目 | 糸むら及び欠点数 |
適用範囲 | 紡績糸、素糸及びスライバー |
使用規格 | JIS L 1095 A法(糸むら)、B法(欠点数) |
機器名称 | ウースター糸むら試験機 |
原 理 | 試験機は送られて来た糸に対して、一定の長さ毎の重量を電気的に測定し、記録してゆく。その重量の変動からU%が算出され、欠点数がカウントされる。 |
試験方法 | 糸むら試験機のサンプルに適したスロットに糸を送り、得られた試験結果を平均し、1km当たりに換算する。 |
試験項目 | 単糸引張強さ及び伸び率 |
適用範囲 | 紡績糸及びフィラメント |
使用規格 | JIS L 1095 |
機器名称 | 自動糸引張り試験機(定速伸張形) |
試験方法 | 試験機をスタートさせると、自動で糸が初荷重の加わった状態でつかみにセットされ、引張強さ及び切断時伸び率が測定される。予め設定した回数を繰り返すと、個々の値、平均引張強さ、同変動率、平均伸び率、同変動率等が出力される。 |
試験項目 | 繊維鑑別 |
適用範囲 | 各種繊維製品 |
使用規格 | JIS L 1030-1 |
機器名称 | デジタルカメラ付き生物顕微鏡 |
システム構成 | 光学顕微鏡、接眼マイクロメーター、CCDカメラ、デジタルカメラ、モニター |
試験方法 | 試験試料が生地や製品の場合は糸に分解し、さらにリッパーを用いて繊維状にほぐす。流動パラフィンをマウント剤として用いてプレパラートを作成し、これを観察する。必要ならば接眼マイクロメーターを用いて繊維径等を測定する。 |
応用事例 | 今年製造した生地を染色すると、同じレシピであるにも拘らず、昨年製造した生地と同様に染まらない。繊維混用率を調べたが特に差異はなかった。そこでこの顕微鏡を用いて観察すると、ポリエステルが今年の分に限って染色されておらず、繊維径にも差異があった。ポリエステルにおいて、異なる原料が使用されたとの見解を報告書にまとめ、顕微鏡による写真も添付した。 |
試験項目 | 平均繊維長 |
適用範囲 | 羊毛、カシミヤ、モヘヤ、絹、麻、合成繊維のスライバー カシミヤ、アンゴラの原料わた ※混用物不可、原料わたについては、ある程度の繊維長さを持つもの |
使用規格 | IWTO-17,JIS L 1081 A法(エレクトロニックマシン)) |
機器名称 | アルメータ(Almeter) |
システム構成 | トップアナライザ、サンプル作成装置 |
試験方法 | 試験試料をサンプル作成装置に取り付けスタートさせる。サンプル作成装置は、試料を少しずつ送りながら試料の端の繊維を引き抜き、端を揃えて集積してゆく。これを繰り返すと一方の端が揃った繊維のシートが作成される。このシートをアルメータの測定部であるフィルムに挟む。そして測定をスタートさせると、アルメータは最初に繊維のシートの揃えられた端の部分の誘電量を測定する。この部分には試料中の全ての繊維が含まれていると言える。次に、逆の端の方に少しだけ進んだ位置で誘電量を測定する。今度は最も短い繊維が含まれないため、誘電量は前の値より若干減少する。これを繰り返すと、誘電量は繊維の質量に比例するため、長さに対する質量の分布が得られる。この分布をHauteur及びBarbeの式に入力することにより、平均繊維長及び変動率が得られる。 |
校正方法 | IWTO(International Association of Wool Textile Laboratories)のラウンドテストが年2回開催されるので、これに参加し、良好な成績を得ることで校正されていると見做している。 |