技術ラボ便り

ホットプレス試験では、染色した繊維製品をアイロン処理やホットプレス処理した場合の
変退色や他のものへの色移りの程度を確認する試験です。
 JIS L 0850には乾熱試験機を用いるA法と電気アイロンを用いるB法があり、
それぞれに、乾熱試験、湿潤強試験、湿潤弱試験があります。

●試験方法および判定●

台上に試験片と白綿布を乗せる。
既定の温度に加熱した板を上からのせ、荷重をかけて15秒間プレスする。
※荷重:A法(乾熱試験機)の場合4±1kPa、B法(電気アイロン)の場合は2.5±0.5kPa.
プレス後、試験片の変退色、白綿布の汚染の程度を、
それぞれグレースケールを用いて比較判定する。
湿潤試験の場合は自然乾燥後判定を行う

※湿潤強試験…試験片と白綿布の両方を湿潤させる。   湿潤弱試験…白綿布のみ湿潤させる。

 図1:電気アイロン写真(B法)

●基準例(ケケン基準)●
変退色:4級以上、汚染:4級以上

ホットプレスは主にアイロンでの熱の影響を確認するもので、乾熱試験は主に製造工程での熱の影響を確認する試験と言われています。乾熱試験では家庭で使用する以上の温度で試験することができます。

●問題になりやすい素材●
 未固着の染料が残留している場合に多く見られ、特に綿繊維は使用頻度の高い反応染料の性質から、問題となる場合があります。

●原因●
染色後のソーピング不足による繊維上の未固着染料の残留によるものと、染料自身が保管時の水分等の影響により分解してしまうことがあります。特に反応染料を用いて染色された綿製品はアイロン時の熱や蒸気による影響で未固着の染料や分解した染料が色落ちを起こしてしまい、問題となる場合があります。

●対策●
耐加水分解性の良好な染料の選定が挙げられます。また、事前に試験を行い、生地特性を把握することや、染色後のソーピングを十分に行うこと、フィックス剤により処理することで汚染を防ぐことができると考えられます。

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