技術ラボ便り
繊維が汗などの水分を吸収することで発熱する機能性の総称です。
メカニズムとしては、空気中の水分(湿気)を繊維表面に吸着することによって発熱し、
温度が一時的に上昇するものと考えられています。
◎試験方法
恒温恒湿機で低湿度の環境下で処理後、高湿度の環境に変化させたときの温度変化を測定します。
加工品と未加工品を同時に測定し、上昇温度を比較します。
(一般的な温度や低湿度条件は20℃、40%RHで、高湿度条件は20℃、90%RHですが、
サンプルや目的によっては、湿度や温度条件は変更可能です。)
◎目安の基準値
加工品と未加工品or比較品の最大上昇温度で有意差が認められること。
なぜ暖かくなるのか…?
体から出た水分(汗や水蒸気など)を吸湿し、その水蒸気が水に変わる時に発生する
「凝縮熱」を利用し、発熱させています。
一般的な繊維としては、吸湿・発熱効果の高いアクリレート系繊維が良く知られており、
タイプによりますが、水分率が20%〜35%とされています。
さらに、アクリレート系繊維は毛の吸湿・発熱量(毛の水分率:16%)を超えることが
確認されています。
特性としては、汗などの水分を吸って吸湿と発熱を繰り返す特性があり、一般的な化学繊維に比べて
繊維が細いため表面積を増やすことが可能で、空気層ができるので保温効果も高くなります。
◎代表的な吸湿発熱効果のある繊維
・天然繊維は元来吸湿性に優れているものが多く、その中でも、毛は吸湿発熱性に優れています。
・アクリル繊維を水分が多く吸収させるように改質させた繊維(アクリレート系繊維)
→水分率が高い繊維であり、吸湿しやすい繊維です。
吸湿した際の吸着熱を利用して発熱するメカニズムとなっています。
◎この機能のデメリット
・水分が飽和状態になると発熱しません。
・運動などの発汗量が多い場面で、本来は温度を下げたい状態でも発熱します。