技術ラボ便り

シリーズ〜機能篇〜

 ここでは、シリーズ企画でいろいろな特集を組んで紹介したいと思います。第一弾は、機能性試験について紹介をしていきます。普段、あまり目に触れる事が少ない人もいるかもしれませんが、お店などで目にすることが多い機能を中心に紹介していきたいと思います。今回は「防しわ性」についてです。

 防しわ性試験とは、しわの付きにくさや、付いたしわが回復する程度を評価する試験です。一般的に、形態安定性や、アイロン掛け不要とする製品の試験に用いられています。
今回は、一般的な方法である、モンサント法と、リンクル法、IWS法について説明します。

◎一般的な基準値
 モンサント法(5.0 N荷重):乾燥80%以上、湿潤70%以上
 IWS法:開角度240°以上

◎代表的な加工方法
・樹脂コーティング・・・・(i)補強となり繊維の折れ曲がりを防ぐ効果、(ii)天然繊維に丸みを帯びさせることで滑りやすく、折れ曲がった状態の組織が元に回復しやすくなる効果、があります。
・サンフォライズ加工・・・物理的に綿繊維の捻じれを正すことで、滑りやすくして、折れ曲がった状態の組織を元に回復しやすくします。
・膨潤化加工・・・・・・・半永久的に綿を膨潤させることで、(i)綿の吸放湿による形態変化を小さくして組織のズレを防ぐ効果、(ii)綿繊維に丸みを帯びさせ、滑りやすく組織を回復しやすくする効果、があります。マーセライズ加工と、液体アンモニア加工が代表的です。
・架橋剤による加工・・・・毛の内側の分子どうしを架橋させることで吸水や物理的な作用による構造変化
を防ぎ、曲りづらくします。

◎この機能の注意点
・消費者が防しわ性に期待し過ぎないよう、表記には注意が必要です(完全に、しわを防ぐことは不可能)。
・ポリエステル繊維は防しわ性が高いものの、一度深い、しわが付いてしまうと回復は困難であるという性質があります。

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