技術ラボ便り

ここでは、シリーズ企画でいろいろな特集を組んで紹介したいと思います。第一弾は、機能性試験について紹介をしていきます。普段、あまり目に触れる事が少ない人もいるかもしれませんが、お店などで目にすることが多い機能を中心に紹介していきたいと思います。第五回目は「通気性」についてです。

通気性について

通気性試験とは、生地の組織の隙間を通る空気の量を調べることにより、生地の通気性の程度を評価する試験です。一般的に、布団やダウンジャケット等の側地に対し、「中の詰め物(綿、羽毛等)が吹き出す恐れがないかどうか」を調べるために行われることが多いですが、「クールビズ用のシャツ等、涼しく快適に着用できることを謳った製品の評価」にも用いられています。

今回は、最も一般的な方法であるA法(フラジール形法)について説明します。

◎試験方法

方法:JIS L 1096 一般織物試験方法 — 通気性 — 

<A法(フラジール形法)>

20cm ×20cmの試験片を5枚採取し、フラジール形試験機に1枚取り付けます。

加減抵抗器により、傾斜形気圧計が125Pa(1.27cmH2O)の圧力を示すように吸い込みファンを調整し、その時の垂直形気圧計の示す圧力を測定します。

測定した圧力と使用した空気孔の種類から、換算表によって生地に一定の圧力を加えた際に1秒間に1cm2の面積に通過する空気量(cm3/cm2・s)を求めます。

◎一般的な基準値

3 cm3/cm2・s以下(通気性が必要とされないもの:防風製品、羽毛製品、中綿の側地等に対する基準値)

50 cm3/cm2・s以上(通気性が必要とされるもの:シャツ等の夏物衣料に対する基準値)

◎代表的な加工方法

【通気性が必要とされないもの】

・生地の密度を細かくする。

・樹脂等でコーティングする。

【通気性が必要とされるもの】

・生地が透け過ぎないようにしつつ、生地密度を粗くする。

【その他】

・湿度変化に応じて捲縮率が変化する繊維を用いる。

乾燥時:繊維に捲縮がかかり組織の目が閉じて通気性が小さくなる。

湿潤時:捲縮が消失して組織の目が開いて通気性が大きくなる。


◎この機能のデメリット

・通気性向上のために密度を減らしすぎると、生地の強度低下に繋がる。また、密度を増やしすぎると、透湿性が悪くなる恐れがあるため注意が必要である。

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