技術ラボ便り

私たちの身の回りには汗臭、加齢臭、タバコ臭等の不快臭が存在しており、それらの不快臭を抑えるために生地には様々な消臭加工が施されています。
消臭試験とは加工が施された生地の消臭性を評価するために行う試験であり、検知管法、ガスクロマトグラフ法、官能試験法の3種類があります。

 1. 試験方法
【検知管法】
対象となる臭気:アンモニア、酢酸・硫化水素、メチルメルカプタン、アセトアルデヒド、ピリジン、トリメチルアミン
試料:生地等の場合、10cm×10cmを3枚採取
   綿の場合、2.4gを3サンプル採取
①各種臭気ガスの調整
②サンプリングバックに臭気ガスと試料を入れたものと、臭気ガスのみを入れたものを用意し、2時間放置
③検知管を用いて濃度測定
④臭気ガスの減少率を算出(2. 減少率の算出方法参照)

【ガスクロマトグラフ法】
対象となる臭気:イソ吉草酸、インドール、ノネナール
試料:生地の場合、5cm×10cmを3枚採取
   綿の場合、1.2gを3サンプル採取
①フラスコ内に臭気成分と試料を入れたものと、臭気ガスのみを入れたものを用意し、2時間放置
②ガスクロマトグラフィーによる測定
③臭気ガスの減少率を算出(2. 減少率の算出方法参照)

【官能試験】
対象となる臭気:アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、硫化水素、メチルメルカプタン、ノネナール、インドール、アセトアルデヒド、ピリジン、トリメチルアミン
試料:生地の場合、5cm×20cmを1枚採取、綿の場合、2.4g採取
①フラスコ内に試料と規定の濃度の臭気成分を入れたものと、基準となる臭気ガス(基準臭)のみを入れたものを用意し、2時間放置
 ②6人のスメラー(臭気の判定する試験者)により試料入りのフラスコと基準臭入りのフラスコ内の臭いを嗅ぐ。試料入りのフラスコ内の臭いが、基準臭と同等か基準臭以下であるかをそれぞれ判定。試料の臭いも嗅ぎ、同様に判定を行う。フラスコ内の臭気判定と試料の臭気判定共に、6人中5人以上のスメラーが基準臭と同等か同等以下の場合に合格となる。

2. 減少率の算出方法
<検知管法>
臭気減少率(%)=(Sb-Sm)/Sb×100   ※Sb:空試験の平均値、Sm:測定の平均値
<ガスクロマトグラフ法>
臭気減少率(%)=(Sb-Sm)/Sb×100   ※Sb:空試験ピーク面積値の平均、Sm:試験試料ピーク面積値の平均

3. 一般的な基準(臭気成分減少率)

4. 主な不快臭と成分
  汗臭…アンモニア、酢酸、イソ吉草酸
  加齢臭…アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナール
  タバコ臭…アンモニア、酢酸、硫化水素、アセトアルデヒド、ピリジン
  生ごみ臭…アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミン

5. 繊維製品で発生する異臭とその原因
①ウールのセーターなどで自身の持つ油臭い臭いが残留している場合や、
編みたて時の編成油剤が残留している場合
②染色時に用いられる酢酸などが残留している場合(酢のような臭い)
③高温多湿環境下で残留している加工剤等が栄養源となり微生物が発生し、
死骸等の腐敗臭が 原因となる場合

  体臭を予防するには汗のケアが重要!!
 “汗=くさい”と思われがちですが、汗は汗腺から出た時は無臭で、
 時間の経過とともに汗が酸化したり、細菌に分解されて臭いの原因物質に
 変化してしまうことが原因となっています。
 体臭を防ぐには、汗をこまめに拭くことや、体臭の原因となる動物性タンパク質を
 食べすきないように注意することが大切といわれております。

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