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第11回:カシミヤ100%タグ制度の創設とその後の推移・課題
このコラムの第5回、「鑑定の歴史−不当表示、JIS改訂、獣毛の指定用語化」において、
現行「カシミヤ100パーセントタグ制度」について若干触れておきました。今回からこの制度の成り立ち、推移・課題について述べてみたいと思います。
ケケンは早い時期から、(旧制度における)「カシミヤラベル」を発給し、適正表示を保証する制度を運用しておりました。
ところが、記述のとおり平成18年から19年にかけてカシミヤ製品の不当表示問題が発生、公正取引委員会から関係業者(表示責任者など)に対して排除命令が出されました。
これを受けてケケンも同ラベルの発給を停止し、原毛、生産、流通の新たな実情に即応した制度の見直しを検討することにしました。
具体的には平成19年9月、ケケン内に「カシミヤ表示適正化のための外部有識者による検討委員会」(委員長:片山倫子東京家政大学教授、現名誉教授)を設け、ケケンが新たになすべき事項の検討を委嘱しました。
同検討委員会は、学識経験者、消費者団体、業界関係者の7名で構成され、平成21年10月までの約2年間、13回にわたって検討をお願いしましたが、その経緯は大略次の3期に分けられます。
・第1期(平成19年9月〜20年1月):
カシミヤ表示問題とカシミヤラベルの課題・改善点の解明に基づき、第三者抜き取りをベースとする新制度の設計・提案を受けました。
・第2期(平成20年10月〜21年3月)
上記報告を受けて、中国内において第三者抜き取りを試行し、良好な結果を得たことから、この方式で新制度を実施すべきであるとの提案を得て、平成21年度にカシミヤ100パーセントタグ制度を発足させました。
・第3期(平成21年10月〜21年11月)
新制度が順調にスタートできたことから、タグの信頼性を確かなものとするために、ISO/IECガイド65認定取得の方針化が打ち出されました。
ISO/IECガイド65の認定は平成22年8月に取得し、製品認証制度として正式に発足しました。
この議論の当初の段階で、次のような基本方針が示されましたが、これは後のISO/IECガイド65の考え方とマッチする部分がありました。
- 第三者抜き取りと破壊鑑定、タグ取り付けの確認、市場からの買い上げチェック
- 制度設計とその運用の公正性、透明性を確保するため、第三者による監督
- タグの偽造防止、コスト負担
- 原料事情などの情報提供