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第2回:鑑定の歴史「50年前にケケンで開発された顕微鏡法」

 以下数回にわたって、ケケンにおける顕微鏡法によるカシミヤ等獣毛の鑑定に関して、お話しします。

 これは私が最近、獣毛の鑑定専門家として長い実績を持つ、Mから聞いた話をまとめたものです。(鑑定専門家は、ケケンの制度資格として「カシミヤ・インスペクター」と呼んでいます)。

 何しろ40〜50年前のことですので、若干定かではない部分もあることはお許し下さい。

 Mがケケンに入社した1966年(昭和41年)時点で、顕微鏡法による鑑定は綿・麻で行われていました。

 この方法が、何時ごろから始められたのかは定かでないのですが、他の検査機関(1社)でも行われていました。

 当時の獣毛の鑑定は欧米をはじめ、投影法が主流でしたので、光学顕微鏡を使用して鑑定していた検査機関は世界でもケケンのみでした。

 Mは、この方法の先駆者であるF氏より、それまで綿・麻でしか使用していなかった光学顕微鏡法を、カシミヤ等獣毛の鑑定に応用させるべく研究を重ね、1960年代前半に試験方法を確立したことを、伺ったそうです。また、同法によるカシミヤ鑑定については、1990年代まではケケンのみが行っていました。

 さらに、この方法はケケンが開発し、かつケケンのみが行っていたことから、F氏がケケン法とするよう何度も進言していた記憶があるそうです。

 当初のJISL1030顕微鏡法には、綿/麻の混用率試験の方法のみが規定されていたため、カシミヤ等の獣毛に関しては、当時の証明書の方法欄に「JISL1030に準ずる」という文言を付記していました。 (文責:鈴木)

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