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第12回:カシミヤ100%タグ制度の創設とその後の推移・課題

前回の話では、平成19年9月、ケケン内に「カシミヤ表示適正化のための外部有識者による検討委員会」を設け、4つの基本方針が示されたことを申しましたが、それらを私たちの制度の中でどのように取り込んできたか、できるだけ簡潔に説明いたします。

  新しい制度の実現のために私たちが最も努めていたのは、正確な表示のサポートとなること、利用される方々のコスト負担が過度でないこと、そして生産、流通、消費を通じて信頼を得られること、でした。

 このうち、制度とコストは二律背反的関係にあり、正確を期せば期するほどコストが高くなります。

 当時、私たちの勉強会の中で議論したことをここに紹介します。

 「製品を認証する」ことの概念は非常に広く捉えられるが、概論として、次のような範囲になる。

①全数試験

 全ての製品について、必要な試験を行う制度。

 製品の安全性など、その必要性が高いものが対象になっているが、カシミヤ製品はそうした範疇には入っておらず、破壊試験が必要な製品を対象にするのは現実的ではない。

②抜き取り試験

 一定のルールの下に抜き取り試験を行うもので、破壊試験を前提とすれば、抜き取り率が高いほどコストが高くなる。

 抜き取りの対象となった製品ロットが認証の対象になる。

③工場審査

 品質管理者と生産工場の審査を行った上で、合格した工場の一定期間の一定製品を認証の対象とする。

 審査機関の審査能力が最大の課題である。

  工場審査については当時のケケンとしてはその実力に達しておらず、次のチャンスを待つことにした。

 以上のうち、ケケンの結論としては、②を選択しました。

 上記の類型化と合わせて、「第三者による抜き取り」を確実に実現することが不可欠でした。これは、クローズドにした環境の中で、生産流通の流れの外にある組織がサンプルを抜き取ることを意味します。 広大な生産国、生産地の中で、ケケン単独では実行が不可能に近いことでしたが、幸い、検品業者さんの協力を得ることができました。タグのご依頼者様には、タグの取付け希望の製品全数を、検品工場に持ち込んでいただいて、ケケンが一定ルールの下でお願いした方々に、第三者抜き取りとして、製品の抜取りを依頼することができました。

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