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第4回:鑑定の歴史「第一次カシミヤ・ブーム余談」

 前回、80年代後半から90年代前半にかけて、「第一次カシミヤブーム」が起こったことを申しました。
 当時、鑑別能力はもちろん、カシミヤ・、ウールを含めた獣毛全般に関しては、情報、知識、経験において、旧称(財)毛製品検査協会が最も詳しく豊富で、お客様への情報提供もほとんど一手に引き受けて積極的に対応しておりました。

 カシミヤを含めた「獣毛はケケン」と言われるようになったのは、この時期にこれまでの蓄積をもとに獣毛鑑定の市場における理解を得られる努力をしたことによると言っても過言ではありません。

 このような時期を経て現在、獣毛に関しては繊維製品はもちろん、毛皮製品、ブラシなど様々な製品の鑑定を行っています。

 もう少し付け加えれば、たとえば

  • キツネ、タヌキ、ウサギなどの襟巻き、ショールなど
  • 筆、ブラシ用のウマ、タヌキなど
  • 南米のリャマ、アルパカ、ビクーニャ
  • リス、コアラ、犬の毛など
  • ヤク

 ヤクについてはこんなことがありました。
 このシリーズのあとの方にも出てきますが、ある時期からヤクが「疑似カシミヤ」として盛んに使われるようになり、しかも顕微鏡鑑定では両者の鑑定が非常に難しいケースもあります。
 鑑定は、本物とサンプルの比較により行うものですが、当初ケケンにもヤクのサンプルがありませんでした。
 そこで当法人の職員が関東のある動物園に行って、ヤクの毛をいただけるよう交渉し、実現した経緯もあります。
 もちろん、その後生育地でのサンプル採取を行いました。

 こうした経験によれば、一般的にサンプルがケケンにあり、または容易に入手できれば、鑑定が出来、あるいはそのための知識を蓄積できます(文責:鈴木)。

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