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第5回:鑑定の歴史「不当表示、JIS改訂、獣毛の指定用語化」

 カシミヤ鑑定に関わるJIS改定のきっかけは、1996年〜97年頃に発生した不当表示問題で、これが発端となって、1997年に家庭用品品質表示法、1998年にJISL1030が改定されました。
 これによって、品質表示法に羊毛以外の獣毛(カシミヤ・アンゴラ・アルパカ・モヘヤ・キャメル)が表示法の指定用語として規定されましたが、鑑別方法に関しては、改訂以前のJISL1030には綿/麻混に関する方法のみで、獣毛混の鑑別方法については規定が全くありませんでした。

 当時、獣毛鑑別はケケンのみが行っていたため、公正取引委員会などの諸官庁から、獣毛の鑑別方法、多種類の獣毛鑑別の可否などについて、問い合わせや聞き取り調査が何度もありました。
 この結果、当局において、獣毛鑑別にはJISL1030の改定が必要との判断になりました。

 獣毛の鑑別方法としては顕微鏡法が適当と考えられていました。
 そこで、この方法の妥当性確認のため、手合わせ試験(複数の人による鑑別結果を突き合わせること)などで検証が必要となりましたが、前述のように顕微鏡法で行っていた検査機関はケケンのみだったことから、実際の手合わせ試験は、当センターの関東・中部・関西の3カ所の手合わせによって、顕微鏡法の精度などが確認・検証されました。
 したがって、現在のJISL1030-2の顕微鏡法はケケンの開発した方法がそのまま規定されています。

 旧カシミヤラベルも上記の不当表示問題がきっかけでした。
 当時、原毛を輸入して、紡糸から製品までを国内で行い、主として百貨店に納めるカシミヤの製品群と、中国の市場から製品を持ち込み、主として量販店に納める商品群がありました。
 その価格差から、消費者団体が不信感を持ち、持ち込まれた製品を鑑定したところ不正表示が発覚し、公正取引委員会の公表に至りました。

 このとき、ケケンにおいてはカシミヤ製品の信頼性を高めるため、適正表示を保証するラベルを発給しておりましたが、その後2006年度に発給を停止し、内容を変更して現在のカシミヤ100パーセントタグ制度になっております。
 この事情は後にご説明します。

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